以下の文は2015年3月10日にグローバルリサーチに掲載されたエリック・ドレィツアー(Eric Draiser)のWashington’s Al Qaeda Ally Now Leading ISIS in Libya を訳したものです。
最近の報告書には、アブデルハキム・ベルハジがリビア国内にいるISISの組織司令官の位置に収まっているとある。この情報はベルハジが聖戦過激派の温床として知られるリビア東部のデルナ(Derna)付近のISIS訓練センターの活動を支援し調整していることを確認したある米諜報員(名前は出ていない)によるものだ。
このアル=カイダテロリストからISIS司令官、というのは主要ニュース記事にはならないようだが、実は2011年から米国とそのNATO同盟諸国はベルハジのことを「自由の戦士」として支持してきた。これらの国々は、ベルハジを彼自身を含む多くのリビア・イスラム闘争グループ(LIFG)メンバーを捉え拘留した「非道な独裁者」ガダフィに対し、自由を愛する同志を勇敢に率いて戦う人物としてきた。
ベルハジはリビアでの米国の目的を非常に良く追行したので彼とその追随者たちをヒーローと呼ぶ上院議員ジョン・マッケインから表彰されているのを見ることができる。彼はガダフィが失墜した当初トリポリの軍司令官という地位を見返りに得たが、より政治的に聞こえの良い「暫定政権」に譲ることを余儀なくされた。以降この暫定政権は無秩序状態で戦争に引き裂かれた国で消滅していった。
ベルハジのテロ活動の歴史には、アフガニスタンとイラクでアル=カイダと協力するという「成果」、そしてもちろん、黒人系リビア人と緑の抵抗運動(ガダフィ率いるリビア・アラブ・ジャマヒリヤに忠実な者たち)の一味と疑われた者らの大量殺害となった米国とNATO後援のリビア中での暴力行為に彼が都合よく追従したことが挙げられる。企業メディアはベルハジがCIAの移送プログラムによって拷問を受けたらしきことで彼を殉教者にしようとしているが、彼が行く先々で暴力と流血の結果となることは動かされぬ事実だ。
これらの情報の多くはすでに知られていることであるが、ここで最も重要なのはこのニュースを適切な政治的脈絡の中で見ることである。それによって米国がリビアからシリア、そしてそれ以外の国で過激な武装団の主要な擁護者であり続けており、「穏健派反政府軍」などというのは考えることをしない大衆をだますために作られた巧言にすぎないという明白な事実が浮き彫りにされる。
敵の敵は友...そうでなくなるまでは
ベルハジのアル=カイダとの繋がりと世界各地での彼のテロリストの業績には多くの記録された証拠がある。数々のレポートが彼のアフガニスタンその他各地での戦闘を取り上げているし、彼自身イラクで米兵たちを殺したことを豪語している。しかしベルハジがガダフィとリビアの合法である政府転覆を望む「反乱勢力」の顔となったのは2011年のリビアにおいてである。
ニューヨーク・タイムズのレポートによれば、
リビア・イスラム闘争グループは1995年にカダフィ大佐を失脚させることを目的に創設された。 リビアの治安部隊に山岳に、または国外に追いやられていたこのグループのメンバーは一番最 初にカダフィ治安部隊との戦いに参加した集団のひとつだ。。。。正式にはこの闘争グループは もう存在していないが、以前メンバーだった者の多くがアブー・アブドウッラー・サディク(別名 ア ブドルハキム・ベルハジ)の指揮の下で戦っている。
ということはベルハジは米国とNATOのリビアに対する戦争に参加しただけでなく、最も強力な指導者の一人として対カダフィ戦の最前線で百戦錬磨の聖戦主義集団を率いていたということだ。このことを最もよく物語っているのがリビア・イスラム闘争グループ(LIFG)がバブ・アル=アズィズィヤにあるガダフィ邸の敷地攻撃の先陣を切ったことだ。その際にLIFGは米諜報機関と米軍から情報と、そして多分戦術的支援をも提供されていた。
ベルハジが急激に世界規模の問題として浮上したISISと関連しているというこの新しい情報は、米国とNATOのリビアへの戦争が米諜報局と米軍が公然と、そして暗黙裡に支援したテログループによって戦われてきたという、2011年以来本著者を含む多くのものが主張してきたことを強化するものだ。また、この情報は米国が自国の地政学的目的のために世界中で最も活動的なテロリストの巣窟をどのように利用したかについて光をあてる、近年浮上した他の情報とも合致する。
最近のレポートによれば、ベルハジはデルナのISIS訓練センター支援に直接関わっている。デルナといえば、もちろん、2011年からリビア情勢を追っているものなら良く知っているはずの場所だ。なぜならこの町は「蜂起」の初期から破滅の年2011年までトブルークとベンガジと共に反ガダフィ、テロリストのリクルート中心地であったからだ。デルナはまた、それよりもずっと前から暴力的過激派の拠点として知られていた。
2007年に「イラクにいるアル=カイダの外国人戦闘員:シンジャール記録初調査」と題した主要な研究がウエストポイントの米陸軍士官学校のテロリズム撲滅センターによって行われた。その著者らによれば、
敵の敵は友...そうでなくなるまでは
ベルハジのアル=カイダとの繋がりと世界各地での彼のテロリストの業績には多くの記録された証拠がある。数々のレポートが彼のアフガニスタンその他各地での戦闘を取り上げているし、彼自身イラクで米兵たちを殺したことを豪語している。しかしベルハジがガダフィとリビアの合法である政府転覆を望む「反乱勢力」の顔となったのは2011年のリビアにおいてである。
ニューヨーク・タイムズのレポートによれば、
リビア・イスラム闘争グループは1995年にカダフィ大佐を失脚させることを目的に創設された。 リビアの治安部隊に山岳に、または国外に追いやられていたこのグループのメンバーは一番最 初にカダフィ治安部隊との戦いに参加した集団のひとつだ。。。。正式にはこの闘争グループは もう存在していないが、以前メンバーだった者の多くがアブー・アブドウッラー・サディク(別名 ア ブドルハキム・ベルハジ)の指揮の下で戦っている。
ということはベルハジは米国とNATOのリビアに対する戦争に参加しただけでなく、最も強力な指導者の一人として対カダフィ戦の最前線で百戦錬磨の聖戦主義集団を率いていたということだ。このことを最もよく物語っているのがリビア・イスラム闘争グループ(LIFG)がバブ・アル=アズィズィヤにあるガダフィ邸の敷地攻撃の先陣を切ったことだ。その際にLIFGは米諜報機関と米軍から情報と、そして多分戦術的支援をも提供されていた。
ベルハジが急激に世界規模の問題として浮上したISISと関連しているというこの新しい情報は、米国とNATOのリビアへの戦争が米諜報局と米軍が公然と、そして暗黙裡に支援したテログループによって戦われてきたという、2011年以来本著者を含む多くのものが主張してきたことを強化するものだ。また、この情報は米国が自国の地政学的目的のために世界中で最も活動的なテロリストの巣窟をどのように利用したかについて光をあてる、近年浮上した他の情報とも合致する。
最近のレポートによれば、ベルハジはデルナのISIS訓練センター支援に直接関わっている。デルナといえば、もちろん、2011年からリビア情勢を追っているものなら良く知っているはずの場所だ。なぜならこの町は「蜂起」の初期から破滅の年2011年までトブルークとベンガジと共に反ガダフィ、テロリストのリクルート中心地であったからだ。デルナはまた、それよりもずっと前から暴力的過激派の拠点として知られていた。
2007年に「イラクにいるアル=カイダの外国人戦闘員:シンジャール記録初調査」と題した主要な研究がウエストポイントの米陸軍士官学校のテロリズム撲滅センターによって行われた。その著者らによれば、
シンジャール記録の戦闘員のほぼ19パーセントはリビアのみから来ている。さらに、シンジャー ル記録のサウジアラビアを含めた他のどの国よりもリビアは戦闘員を数多く輩出している。。。
イラクに渡るリビア補充兵が急増したのはリビア・イスラム闘争グループ(LIFG)がアル=カイダと 協力関係を深めており、2007年11月3日にLIFGが正式にアル=カイダに参加するに至ったこ とと関係しているようだ。。。戦闘員たちがもっとも多く故郷の町としてあげるのはリビアのダルナ (デルナ)とサウジアラビアのリヤドで、それぞれ52名と51名の戦闘員がこの二つの町の出身 だ。ダルナ(デルナ)の人口は、リヤドの430万人にくらべ、8万人を少し上回るだけで、シン ジャール記録の戦闘員の中では町の人口比でとび抜けて高い。
ということは、米軍と諜報界は10年近く(多分それより長く)デルナが直接または間接的にLIFG関係のジハーディストたちに支配されており、この町が中東地域でのテロリズムの主要なリクルート場として機能していたことを知っていたということだ。当然このような情報は、ISIS訓練キャンプがデルナの地で悪名高きベルハジと繋がっていることの地政学的そして戦略的な重要さを理解するためになくてはならないものだ。
このことは我々を3つの相互に関連した同等に重要な結論に導く。第一は、デルナがまたリビアと、言うまでもなく標的であるシリアを含むより広範なこの地域で戦われるテロ戦争の歩兵を供給することになること。第二は、デルナの訓練場は米国と繋がっていることが知られている人物によって支援と調整がなされるということ。そして第三は、米国の「穏健派反乱軍」を支援するという政策は平均的アメリカ人(そして西欧に住む人々一般)に米国はテロリズムを支援していないと思わせるために作られた広報キャンペーンにすぎない。支援しているという反対の証拠がこれだけあるにもかかわらず。
「穏健派反乱軍」の虚構
ベルハジとISISに関するニュースは孤立状態で観察されるものではない。むしろ、「穏健派」が米国にって支援されているという概念は世間一般と政治を観察する人々の知性を侮辱するものであることのさらなる証と見られるべきだ。
3年以上も米政府はシリアのいわゆる穏健派を支援するという政策を喧伝してきた。ひとつの大きな「穏健派」テントの中にはアル=ファルカーン旅団(人食いで有名となった)からハズム(「決意」)まで多種多様なテログループがその時々に巻き入れられてきた。米国のプロパガンダ布教者と各種の戦争煽動者たちには気の毒だが、これらのグループは以来その他の多くのグループと共にヌスラ戦線とISIS/ISILに自主的にまたは強制的に組み込まれている。
ということは、米軍と諜報界は10年近く(多分それより長く)デルナが直接または間接的にLIFG関係のジハーディストたちに支配されており、この町が中東地域でのテロリズムの主要なリクルート場として機能していたことを知っていたということだ。当然このような情報は、ISIS訓練キャンプがデルナの地で悪名高きベルハジと繋がっていることの地政学的そして戦略的な重要さを理解するためになくてはならないものだ。
このことは我々を3つの相互に関連した同等に重要な結論に導く。第一は、デルナがまたリビアと、言うまでもなく標的であるシリアを含むより広範なこの地域で戦われるテロ戦争の歩兵を供給することになること。第二は、デルナの訓練場は米国と繋がっていることが知られている人物によって支援と調整がなされるということ。そして第三は、米国の「穏健派反乱軍」を支援するという政策は平均的アメリカ人(そして西欧に住む人々一般)に米国はテロリズムを支援していないと思わせるために作られた広報キャンペーンにすぎない。支援しているという反対の証拠がこれだけあるにもかかわらず。
「穏健派反乱軍」の虚構
ベルハジとISISに関するニュースは孤立状態で観察されるものではない。むしろ、「穏健派」が米国にって支援されているという概念は世間一般と政治を観察する人々の知性を侮辱するものであることのさらなる証と見られるべきだ。
3年以上も米政府はシリアのいわゆる穏健派を支援するという政策を喧伝してきた。ひとつの大きな「穏健派」テントの中にはアル=ファルカーン旅団(人食いで有名となった)からハズム(「決意」)まで多種多様なテログループがその時々に巻き入れられてきた。米国のプロパガンダ布教者と各種の戦争煽動者たちには気の毒だが、これらのグループは以来その他の多くのグループと共にヌスラ戦線とISIS/ISILに自主的にまたは強制的に組み込まれている。
最近、もと自由シリア軍の派閥からISISへ大規模な離脱があったという多くの報告がなされた。寝返ったものたちは米国が供給した高度な武器を持ち込んだ。米政府の政策の「看板ボーイ」と相まって、前述のハズムグループも今やシリアでアル=カイダと繋がっているヌスラ戦線の一部となっている。もちろんこれらはISISか、シリアでのアル=カイダ・ブランドのどちらかと提携するたくさんの例の一部に過ぎない。その他ちょっと挙げただけでも、リワー・アル=ファルーク、リワー・アル=クサイル、そしてリワー・アル=トゥルコメンなどがある。
ここで明らかなのは、米国とその同盟諸国が、シリアでの政権を変えるための終なき追求として過激派集団を公然と支援し続け、それらの集団が合体してISIS,ヌスラそしてアル=カイダという地球規模のテロ脅威が形成されたということだ。
しかし、これはなにも新しいことではない。ベルハジの件が議論の余地なく示しているように、以前アル=カイダだった人物が「穏健派」で「トリポリの我々の味方」となり、今やリビアでのISIS脅威のリーダーだ。そしてシリアでは「我々の友達」が我々の敵となった。これらのことで驚くものは誰もいないはずだ。でも多分ジョン・マッケインは彼の長期にわたるベルハジとシリアの「穏健派」との付き合いについて疑問に答えたいのではないか。オバマは彼のリビアへの「人道的介入」がなぜこの国にとって、そしてこの地域全体の人道的悪夢になってしまったのかを説明しないのか?これらの全ての作戦に広範に関わってきたCIAは、誰を実際支援し、この無秩序状態を作り出すのにどのような役割を担ってきたのか一切を白状しないのか?
ここで明らかなのは、米国とその同盟諸国が、シリアでの政権を変えるための終なき追求として過激派集団を公然と支援し続け、それらの集団が合体してISIS,ヌスラそしてアル=カイダという地球規模のテロ脅威が形成されたということだ。
しかし、これはなにも新しいことではない。ベルハジの件が議論の余地なく示しているように、以前アル=カイダだった人物が「穏健派」で「トリポリの我々の味方」となり、今やリビアでのISIS脅威のリーダーだ。そしてシリアでは「我々の友達」が我々の敵となった。これらのことで驚くものは誰もいないはずだ。でも多分ジョン・マッケインは彼の長期にわたるベルハジとシリアの「穏健派」との付き合いについて疑問に答えたいのではないか。オバマは彼のリビアへの「人道的介入」がなぜこの国にとって、そしてこの地域全体の人道的悪夢になってしまったのかを説明しないのか?これらの全ての作戦に広範に関わってきたCIAは、誰を実際支援し、この無秩序状態を作り出すのにどのような役割を担ってきたのか一切を白状しないのか?
このような質問が企業メディアの口から発せられるとは思えない。これらの破滅的状況を生むに至った決断を下した米政府の者たちが、これらの問いに答えを与えることもありえないように。だから、企業プロパガンダ集合体の外にいる我々こそが答えを要求し、権力層が我々の声や..真実を抑圧することのないように求めるべきであろう。
Eric Draitser is an independent geopolitical analyst based in New York City, he is the founder of StopImperialism.org and OP-ed columnist for RT, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook”.
Eric Draitser is an independent geopolitical analyst based in New York City, he is the founder of StopImperialism.org and OP-ed columnist for RT, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook”.
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