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2011年12月18日日曜日

コンゴ民主共和国で戦時中に行われた資源略奪

以下はロヴェルドスの報告書3章の続きです

3・2 コンゴ民主共和国で戦時中に行われた資源略奪


国連、国際組織また米国の専門家達はコンゴ民主共和国東部での暴力事件と地政学的そして地理経済的利益には関連性があることを指摘した。


主権諸国家の対立する利害は安全保障理事会を初めとする国連の組織と決議によって明らかになることが多いが、ルワンダと後にザイール / コンゴ民主共和国での暴力紛争についてもそのような対立する利害は明白であり悲劇的に重大な意味を持つ。しかし国連はまた国際社会に有用な手段をも提供しており、今でもそれは用いることができる。

国連事務総長によって指名され現地に送られた専門委員会は一連の決定的な報告書を作成した。それには2回の戦争中(1996年から1997年のものと1998年にはじまって今でも続いているもの)に戦略的鉱物を略奪したのは主としてルワンダ愛国軍 / ルワンダ愛国戦線とウガンダ軍そして他の軍事団体であったことが詳しく示されている。


第一回国連専門委員会報告書

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ブルンディ、ルワンダ、ウガンダによる不法な資源の搾取には幾つかの方法がある。没収、採取、専売の強制、価格操作などである。これらの最初の2つの方法はコンゴ民主共和国での戦争が収益の高いビジネスになるまでの規模に上った。


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コンゴ人に支援された外国人による不法搾取は1996年の第一次「解放戦争」から始まった。解放民主勢力連合(AFDL)反政府軍はアンゴラ、ルワンダ、ウガンダ兵の支援を受けてザイールの東部及び東南部を制圧した。これらの軍隊が進撃中、当時AFDL指導者であった故ローレン・デズィレ・カビラは外国企業数社と契約を結んだ。1997年までに英語、キニヤルワンダ、キスワヒリのみを話す最初の「新しいビジネスマン」の一群がコンゴ民主共和国の東部に来て営業を始めたことを数多くの報告や書類が示している。


家畜やコーヒー豆その他の資源が盗まれているという報告が頻繁になされるようになった。1998年8月に戦争が勃発するまでには、ルワンダとウガンダの軍のトップとその関係者らはコンゴ民主共和東部の自然資源の将来的な可能性や埋蔵されている場所についてはっきりとした認識を持っていた。


その専門家報告書はまた、西洋の多国籍企業がそれらの資源の略奪と不法採掘に責任があることをはっきりと指摘している。これらの活動は戦争の財源を生むと同時に人道に対する罪や組織的な人権侵害を助長している。責任を問われるべき企業の中には多国籍のものも国内やある地域のみで運営されているものもある。


スペイン裁判所は最近明らかにされたように、国連事務総長に対して国連専門委員会がその調査報告書でコンゴ民主共和国での不法な鉱物資源の搾取に関与したことを指摘した特定の人物及び特定の企業の代表者についての刑事と重要証拠収集面での司法協力を正式に要請した。この論文が発表された時点で国連はこの要請に対する反応を示していない。


グローバル。ウィットネスやインターナショナル・インフォメーション・サービスといった団体も国連と類似した調査を行い、人道に対する罪への関与や略奪に関する証拠を見出した。
国連専門家らはルワンダが正式には国内で生産も輸出もしていないダイヤモンドを輸出していることを明らかにした。


ルワンダはまた、略奪と不法採掘されたコルタンの米国への販売だけでも1年間に2億5千万ドルもの利益を得ている。これはルワンダ愛国戦線/愛国軍がザイールとその後の新コンゴ民主共和国で軍事展開するのに必要な額を充分に満たしていたであろうと思われる。


これは巨大な氷山の一部が表面化したもので元米国家安全保障局員で現在調査研究家のウェイン・マドセンの情報によれば、米国のケロッグ・ブラウン・アンド・ルート社(当時デイック・チェニーが経営していたハリバートン社の子会社)はルワンダ愛国戦線/愛国軍の軍事訓練に関わり、ザイールでは後方支援をしていたとされる。これらの事実は考慮に値する。


侵略と虐殺が行われている間、コルタン、金、ダイヤモンド、胴、コバルトの組織的な略奪があった。コルタンは携帯電話、ラップトップコンピューター、衛星などの市場規模により高い需要のある物質である。


もう一人の米国の調査研究家キース・ハーモンは、西洋の多国籍企業が鉱業権と引き換えに後方支援と軍事物資を与えていたと述べた。鉱業権はキロ・モトのザイーリアン金鉱のように主要地域にある。

このような背景により、最初の戦争が終了してローレン・デズイレ・カビラが政権を取ってから一年後の1998年にルワンダとウガンダの軍隊が二度目のコンゴ民主共和国の占領を行った。

国際刑事裁判所の検察ルイス・モレノ・オカンポが指摘したように、この紛争は第二次世界大戦後のどの紛争よりも高い死傷者をだしている。米国の組織インターナショナル・レスキュー・コミッテイー、国連、欧州連合の記録によれば、540万人が過去10年間の紛争で命を落としている。



ここではっきりさせなくてはいけないのは、そのような鉱物の略奪、不法占有、搾取が名もない多くのアフリカ人の現代版奴隷制度ともいえる労働と米国や西欧の組織や人物らの共謀によって行われてきたということだ。多くの鉱物採掘場で子供たちが日の出から日没まで非人間的な条件下で働いている。


ルワンダの監獄から囚人らがコンゴ民主共和国で採鉱するために輸送され、彼らの刑罰は採鉱場で働くことで「懲役」とみなされて刑期を差し引かれる。これは彼らの人権の重大な侵害である。囚人らは彼らが拘禁されている施設から出られるという以外になんの報酬も与えられない。そして彼らの多くは裁判にもかけられないか、または「虐殺」という総称的な嫌疑のみで告訴されている。


ルワンダ国際戦犯法廷(ICTR)での限られた数の刑の宣告以外に国内の裁判管轄権下で多くの裁判が行われたが、ガチャチャ・コミュニテイー法廷の適用は中立性の欠如という点で国連専門家などから多くの批判を受けた。地理経済的そして地理戦略的権益の絡んだ国際犯罪と人道に対する罪のネットワークが刑事責任を問われ罰せられることは全くない。


現在のコンゴ民主共和国における一般市民への組織的な人権侵害が全く罰せられない状況であるのは明らかだ。国連専門家らは繰り返しこれらの1998年以降の犯罪に責任があるものを捜査し、起訴することを求めている。その年1998年には国連事務総長のコフィ・アナンが特に前ザイールの国境内で起こっているような人権侵害とそれに対する復讐の悪循環が処罰されない状況によってさらに拍車がかかっていることを強く非難した。


国連総長自身がそのように指摘し、その目的によって指名された専門家委員会の勧告にもかかわらず、国連はこれらの犯罪を捜査し裁くための特別国際法廷を設置していない。裁判にかけられる対象は犯罪を犯した個人と多国籍企業を含む非国家主体の代表である。国連はまた、ルワンダ国際戦犯法廷の管轄をこれらの犯罪にまで拡張することもしていない。


コンゴ民主共和国の裁判所もまた、コンゴ国内で起こった国際犯罪、特に1996年10月以降の人々に対して犯された犯罪と資源の略奪のどちらについても捜査をおこなっていない。

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