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2012年2月16日木曜日

カトゥンバ・ムワンケの死

4日前(2月12日)にジョセフ・カビラ大統領の右腕といわれたカタンガ州の政治家オーガスティン・カトゥンバ・ムワンケ氏が飛行機墜落事故によって死亡した。ムワンケはもとカタンガ州の知事(1998~2001)であり、カビラ政権の影の実力者であった。カビラとの関係をブッシュ政権時代のチェニー副大統領とのそれにたとえる者もいる。つまり大統領以上に実質的な権力を握っていたと言うことだ。

カタンガ州知事であったムワンケはジョセフ・カビラが2001年に政権の座に付く以前に軍司令官であったころから親交があり、政権発足時に国営企業大臣に起用されたが2002年の国連専門家パネル報告書でコンゴ資源の不法搾取によって利益を得たことを指摘されてから一時的に政権から退いていた。

しかしその後もコンゴの大規模な鉱業契約や外交政策に多大な影響力を持ち、自身もカタンガ州ディクルーシ鉱区で胴と銀を採掘していたオーストラリアのアンヴィル鉱業会社の取締役会に名を連ねていた。この鉱区からは世界でも有数の純度の高い鉱石が採掘され、西オーストラリア・パースに基盤を持ち設立当時の株価が5セントであったこの会社を時価総額1億ドルの大会社へと成長させた。ディクルーシ鉱区はピーク時に毎日50万ドル相当の鉱石を運び出していた。

ADASHOというルブンバシのNGOスポークスマンはアンヴィル社が採掘に関して政府から税控除を受けており、その優遇措置はムワンケの後ろ盾によるものだと指摘した。ムワンケ自身はアンヴィル鉱業社とのそのような関係を一切否定していた。

大規模な鉱業関係の取引と交渉のすべては彼を通して行われていたともいわれている。ムワンケのコンゴ鉱業界での実力を示す最近の例としては2008年に中国とのインフラ整備と鉱物生産プロジェクトをパッケージにした60億ドル融資契約を結んだことである。

彼の死は権力の真空状態とカビラ政権の不安定化をもたらすであろう。

(アンヴィル鉱業社についてはMatthew Benns 著 Dirty Money, 2011 Chapter 1: Death in the Congo を参考にしました。)

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